アフィリエイト広告を利用しています。
実務者研修でのテキストでは、「こころとからだのしくみ」があります。
私自身もそうですが、このテキストの内容を介護の現場で活かせているかというと、
おそらく多くの介護士の方も普段の利用者と触れ合う中では、業務に追われて意識をしていることを明確に感じることは、少ないのではないかと思います。
ただ、ベテラン介護士の方であれば、あえて意識的にテキストの内容を思い出さなくても業務に活かせられているのかもしれません。
この高齢者のこころとからだを知ることは、利用者の行動や表情を理解するときに、とても役に立つことだと思います。

高齢者の老いの自覚について。実務者研修での振り返り
利用者が高齢者である介護施設では、
加齢による心理・社会的変化について、
定年、引退、配偶者や身近な人との死別といった喪失とともにあるといえます。
身体的にもさまざまな感覚機能や内臓機能の老化などの身体的衰えや、
体力や気力の衰えなど、つらい現実に直面する精神的負担に加え、
家族の入院や介護の世話が伴うと負担はより増加していきます。
また、この「喪失」には、
外的な「社会的関係や役割」、内的な「身体機能や健康」の二つがあり、
それらが相互に関係し合って主観的な「老いの自覚」となるようです。
介護施設で暮らしている利用者の中には、ご自身が、この歳まで生きてきたけど、何の楽しみもないと、若い頃を振り返り、寂しさを訴えておられる方もおられます。

実務者研修でのテキストの復習から「R.J.ハヴィガーストがあげる高齢期の発達課題」より
実務者研修でテキストでは、この老いの自覚について
「R.J.ハヴィガーストがあげる高齢期の発達課題」を紹介されています。
①肉体的強さと健康の衰退への適応
②引退と減少した収入への適応
③満足な生活管理の形成
④引退後の配偶者との生活学習
⑤配偶者の死への適応
⑥自分と同年輩の高齢者との明るい密接な関係の確立
⑦社会的役割の柔軟な受け入れ
これらの項目について、適応をしていくことが大きな課題であるとして、紹介されています。
このような、背景を理解して、利用者の行動や考え方、ときには意見を聞くことは、また、介護職にとっても、聞き方が変わる、より理解が進むように思います。
もしかしたら、あまり、普段からお話をされず、レクレーションにも参加したがらない利用者の方は、このような心の壁を乗り越えようとされている時なのかも知れません。
時には、静かに見守ることや、お話を傾聴したりすることが、大切なこともあるように感じました。

障害受容と生きがいについて対象喪失への理解について 実務者研修のテキストより
本人にとってこころのよりどころとなる大きな価値あるものを失うということ。
そうした状況に遭遇したら人はどのような心理的反応を示すのか、また、どのような支援を受けて立ち直っていけるのか、
私たち介護職では、知っておかなければならないこととして学びます。
たとえば、障害のある人の障害の受容について考えてみた場合・・・
障害に陥ることは、手や足という大事な身体の一部を失うという意味で対象喪失でもあります。
また、普通に歩けない、外出しにくいという行動機会の喪失でもあり、
それまでの職や人間関係をも失うかも知れません。
喪失した対象への依存度が高いほど、喪失の克服に時間がかかります。
喪失を埋めようとしても、それが徒労だと感じると周囲を責めたりします。
そして深い絶望に沈みますが、そこから再びはい上がり、障害とともに生きていくには、
多くの感情体験と価値観の再構築が必要になります。
対象喪失への克服過程に伴う感情 (一般社団法人 長寿社会開発センター介護福祉士実務者研修テキストより)
衝撃 こころの準備もなく、ショックでパニックになる。 不安 心細くどうしてよいかうろたえる。 躁的防衛 「失ったものは大したことはない」と軽視して、強がった態度をとる。 執着 失ったものや機能のあった過去にとらわれる。 後悔(償い) 失ったものへとっていた過去の態度を悔やみ、埋め合わせ、償いたいと願う。 恨み(仕返し) 失ったものを恨んだり、仕返ししようとする。 再生 失ったものをもとに戻したいとねがう。
実務者研修でのテキストの復習から 障害受容と生きがいについて障害受容のプロセス
①ショック期:
障害に陥った直後、現実の状況を理解できず、パニック状態や強烈な不安を示す。
②否認期:
障害の重さを認識するほど、「障害はすぐ消える、何かの間違い」と現実を認めようとしない。
援助者に依存的になるが治療や克服には取り組もうとしない。
③混乱期:
障害の消滅や完全な回復は無理であると悟りはじめるが、あきらめがつかない。
その攻撃先が外に向かうと八つ当たりなど他罰的になるが、自分に向かうと悲観して抑うつ的になる。
④解決への努力期:
内向的に自分を責めてばかりいた人は目が外に向く。逆に周囲を責めてばかりいた人は自己を内省する。
過去の自分の価値観から、徐々に障害とともに生きる自分を受け入れる価値観に転職していく。
⑤受容期:
価値の転換が身につき、新たな自分にふさわしい人間関係や役割、居場所が現実社会のなかで見つけられる。
これが、自己の再生ともいわれ、生まれ変わって障害とともに生きていく自己像が徐々に定着する。

実務者研修でのテキストの復習から 障害受容と生きがいについて欲求不満への適応
1⃣欲求不満状態は精神の苦痛や緊張を長引かせ、神経症や胃潰瘍のような病気にもなりやすいので、人は意識的に、また無意識的にその状態を避けようとします。
もっとも消極的な対処方法は、欲求をあきらめるという解決策です。
精神的安定をえるために潔く撤退する「退避」、
全く別の行動に集中して不安を拡散する「現実への逃避」、
自分の空想や内的世界に逃げ込んで代償的満足を得る「空想への逃避」、
健康や身体的状況を口実とする「病気への逃避」があります。
満たされない欲求不満に対し、自分の精神的安定を得るための自我のはたらきを「自我防衛機制」と呼びます。
代償的反応
欲求達成行動が阻害された場合、逃避や退避まで逃げずとも、多くはその代わりの目標を設定して現状を乗り切ろうとします。
この代替行為で自分を納得させることを代償的反応と呼びます。
浪人生が二度目の受験では志望校のランクを下げる、外資系企業で英語を活かし世界を飛び回りたいと望んでいた人が、採用試験に落ちたので国内商社の海外事業部に就職し、英語を活かす仕事で希望の半分をかなえるといった例です。
自我防衛的反応
欲求達成をあきらめることは敗北感という精神的苦痛を与えます。
または目標達成に失敗したための自己評価や自尊感情の低下を取りつくろうため、人は無意識にさまざまな心理的適応のしくみを編み出してきました。
これを自我防衛機制と呼びます。
事故卑下や自我の崩壊に至るより犠牲は小さいですが、少なからず現実からの逃避、自己欺瞞の傾向は否定できません。
自我防衛感応例
否認 現実であっても。あまりにつらい事実を認めようとしないこと。 抑圧 自分に不都合だったり不快である感情や願望を意識や記憶から消し去ること。 合理化 本来の願望が満たされない落胆や敗北感から逃避するため、都合のよい理由づけをすること。 反動形成 自分の願望と裏腹の態度や行動をとること。 投影 自分のもっている考えや願望を他人のものとすり替えること。
(例)万引きしたいと内心思っている人が、ほかの人も皆そうだと決めつける。置き換え ある対象への感情が、ほかの対象に移されること。
(例)「八つ当たり」、「反面教師」など補償 自分の欠点や劣等感を補償するような態度や行動
(例)劣等感から虚勢を張って強くみせたり、過度に卑下してみせる態度をとる。退行 年齢相応より若い発達段階の原動や態度に戻ること。
(例)下に赤ちゃんが生まれると3歳になっていた上の子が赤ちゃん行動をとる。白日夢 現実にはありえない想像で願望を満たすこと。
()例)好きな俳優と知り合って恋に落ちる想像をする。
まとめ
実務者研修のテキストの内容を振り返るのために、テキストを読み返してみました。
介護施設での、ご利用者の方の心の中を知るうえで、大変、勉強になりました。
利用者のこころを知るためには、やはり、その利用者の人生の背景を知ることが求められます。
これは、個別ケアを実践していく中でも、とても参考になります。
そして、このような学びは、利用者のことだけでなく、すべての人のことを理解することにもなります。
どうしても、自分を中心に人を評価してしまうものですが、やはり、自分にも、これまでの人生の出来事があり、人それぞれ、歴史があります。
少し、そんなことを思うことで、日常の忙しさで、気持ちが乱れそうになったときでも、冷静になれるのではと感じています。
コメント