介護施設にみる自立支援、自己決定とは?

介護職の日記

(※この記事は2025年5月25日に更新されています)

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わたしの勤める介護施設では、

施設に入居されているご利用の週に1度のお買い物に行くことがあります。

週に一度、欲しいもの、例えば、おやつ、日用品など、近くのスーパーに頼まれたものを買いに行くことや、

もしくは、ご希望のご利用者には、同行でお買い物にでかけていくものです。

基本的には、ご利用者は、施設から自由に外出ができないので、とても楽しみにされています。

幸い、徒歩でいける距離にお店がありますので、施設の朝、昼、晩の3度のお食事と3時のおやつでは、

もの足りない方にとっては、本当に楽しそうにお買い物を楽しまれています。

私たち、介護職は、日常の業務に追われることが多い中で、時間を作ってお買い物に同行しています。

このお買い物も、ご利用者から欲しい物を聞いて、介護職員が代わりに買いに行けば、時間も早くスムーズなのかも知れません。

しかし、ご利用者の方と同行となると、歩行スピードや車いすの安全なスピードなど、早く終わらせることだけを考えた場合は、とても非効率なことと考えてしまいます。

このことが、つい、作業として捉えてしまっている場合、介護職としての感覚に間違いが起きてしまします。

このお買い物は単に買ってくるということだけではありません。

お買い物を利用者が自分で直接買いに行きたい、お店で欲しい商品を選びたい、そのようなご利用者が自分でできることは、時間が少々かかってもご自身ですることによって、生活に自信と誇りをもてるようになります。

これが自立支援のひとつになってきます。

そのようなことを意識するようになると、最近はこのお買い物に出かける時間は、ご利用者にとっては、大切な時間だと思えるようになりました。

受講した実務者研修でも学んだことですが、もし、ご利用者が欲しいものを選んだり、

自己決定する機会のひとつと考えると、自立支援を促す立場の介護職員としては、本当に学びの多い時間となります。

自立支援とは

自立支援とは・・・

単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念とする。

(厚生労働省「介護保険制度の概要」より:令和3年5月)より

そして実務者研修で学んだことは、

その利用者の日常動作(活動)だけが、その人のもてるすべての力を表しているわけではないということ。

まだ、介護職員が気づいていない、できる力が潜在していることもあります。

そんな残存能力や可能性を見出し、もてる力を引き出す対応が求められています。

自己決定とは

お買い物では、ご利用者が直接、欲しい商品をご自身で選ぶという、本来の姿です。

人間は意思をもった存在ですので、そのような自己決定の意思は尊重しなければなりません。

「人間の尊厳、価値観や生活習慣に基づいたその人自身の生活が、

維持・継続されることで保たれるものです。自己決定の権利を尊重することは、利用者の主体性や意欲の向上を目指した支援につながる」

「介護福祉士養成 実務者研修テキスト(一般財団法人 長寿社会開発センター)」より

まとめ

自立支援・自己決定を考えると、日々の仕事に対する感情が変わり、

介護のお仕事がとても人間そのものを学ぶ機会という気持ちになれます。

ICF(国際生活機能分類)というWHO(世界保健機関)が採択した健康の要素に関する分類法があります。

引用元:図1 ICF(国際生活機能分類、WHO)

このICF(国際生活機能分類)は、私たちをとりまく環境を表している図です。

自分自身や関わっている人について理解を深めることができるものです。

実務者研修の目的は、介護過程を展開する思考方法を学び、自立支援に資する介護計画を作成、実際にそれにそった介護を行うことのできる人材を育てることです。。

この介護過程とは、利用者の望む生活を実現するために、介護サービスを提供するうえで考えなければならない一連の行為とされています。

介護過程の展開とは

①情報収取

②生活課題抽出と目標設定

③介護計画の立案

④介護計画の実施

⑤評価と計画の見直し

このような思考過程は、あらゆるケースに応用できる考え方です。

このような学びがなければ、おそらく今回のお買い物でも、単に介護の業務外の雑用的な感覚でしかなかったと思うのです。

このような考え方をしてしまったり、自分自身の考えや行動に根拠を考えることで、

いろんなことに関心が向いていきます。

そんな、奥深い、介護のお仕事に出会ったことは、本当に幸せのなかも知れません。

この記事を通じて、介護のお仕事に興味をもたれる方が増えていけば幸いです。

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