(この記事は2025年6月12日に更新されています)
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「ユニットケアって、何?」
介護業界に入ってしばらく経つまで、実は私もよく分かっていませんでした。
50代で未経験から介護の世界に飛び込んだ私が、毎日の仕事の中で感じた「ユニットケアの本当の意味」。
それは、「人と人との関係を丁寧に育てる、もうひとつの“家族”のような場所」でした。
今回は、介護の知識がまったくない方に向けて、「ユニットケアとは何か?」を、できるだけ分かりやすく、リアルな現場の目線からお伝えします。

ユニットケアって、簡単に言うと?
ユニットケアとは、“10人前後の少人数グループで、家庭的な雰囲気の中で生活を共にするケアのスタイル”です。
たとえば、あなたが今、親の介護を考えているとします。
できれば「大部屋で機械的に扱われる」のではなく、「できるだけ自宅のように、落ち着いて過ごしてほしい」と思いませんか?
ユニットケアは、そんな思いを形にした介護の在り方です。
私が働く施設では、特別養護老人ホームがユニット型で、各ユニットに専属の職員がいて、ご入居者一人ひとりとじっくり関わることができます。
正直、これは働く側にとっても安心感が大きいです。

もう少し詳しく説明すると、ユニットケアの考え方は、これまでの“施設らしい介護”とは大きく異なります。
従来の介護施設では、「効率よく多くの高齢者を支援すること」が優先されていました。
そのため、食事もお風呂も、時間で一斉に行われることが一般的。
職員も交代制で、誰が誰を担当しているかが曖昧になることもあります。
でも、ユニットケアでは真逆です。
「暮らしのリズムは、人それぞれ違っていて当たり前」という前提に立ち、一人ひとりの希望や生活ペースに寄り添うような支援が行われます。
たとえば、ある利用者さんは「朝はゆっくり起きて、お茶を飲んでから食事にしたい」と言います。
他の方は「早く起きて、散歩をしたい」と。
その違いを大切にしながら、職員がそれぞれの生活に寄り添うよう工夫するのが、ユニットケアの大きな特徴です。
さらに、介護職員にとってもユニットケアは大きな意味があります。
「この人の好きな食べ物は何か」「どんな話題に笑ってくれるのか」
そんな日々の小さな気づきが、ケアの質に直結します。
私も、ある入居者の方が“昔お菓子作りが趣味だった”という話を聞いて、一緒にホットケーキを焼いてみたことがあります。
そのときの笑顔は、今でも忘れられません。
こうした“何気ない日常”を支えることが、ユニットケアではとても大切なのです。
まるで小さな家族のように、毎日同じ人と顔を合わせ、「今日もおはよう」「また明日ね」と声をかけ合う。
それが、介護という仕事を“作業”ではなく“人生の一部”に変えてくれる瞬間なのだと思います。
項目 | 従来型施設 | ユニットケア |
---|---|---|
生活環境 | 大部屋・共同スペースが中心 | 少人数ユニット(10人前後)で家庭的な空間 |
ケアのスタイル | 時間・流れ重視の一斉対応型 | 個別ケア重視で柔軟な対応 |
職員配置 | 複数職員が交代で担当 | 各ユニットに専属職員が常駐 |
入居者との関係性 | 顔なじみになりにくい | 毎日顔を合わせることで深まる信頼関係 |
自立支援 | 管理・見守り中心 | 本人の意思や生活習慣を尊重した支援 |
雰囲気 | 施設的・集団的 | 家庭的・温かみがある |
【従来型施設のイメージ】
┌────────────┐
│ 大広間(食堂・リビング兼用)│ ← 20〜30人が共同生活
├────────────┤
│ 職員は日替わりで対応 │ ← 入居者との関係は浅め
├────────────┤
│ 時間ごとに一斉ケア │ ← 例:9時に全員朝食、10時に入浴
└────────────┘
【ユニットケアのイメージ】
┌────────────┐
│ ユニットA(10人前後) │ ← 小さなグループごとに独立
├────────────┤
│ 専属職員が常に同じ顔 │ ← 家族のような関係に
├────────────┤
│ 一人ひとりに合わせた生活 │ ← 例:起床・食事・趣味も自由
└────────────┘
そもそも、なぜユニットケアが始まったの?
その原点は1994年。
ある施設長が、「集団生活の中で、誰もが黙って食事をしている光景」に疑問を持ったことがきっかけでした。
そこで彼は、少人数で買い物をし、一緒に料理を作り、食卓を囲む…という取り組みを始めます。
「家庭のような時間が、高齢者の笑顔を引き出す」と実感したのです。
やがて、施設全体を4つの小さな“家”のように分けて、同じ職員が一緒に過ごすユニットケアが誕生しました。
これは、単なる運営スタイルの変化ではなく、高齢者の“暮らし”を見直す大きな一歩だったのです。
1994年に始まったその取り組みは、高齢者ケアの常識を覆す画期的なものでした。
施設長が抱いた「黙って食事をする光景への疑問」というささやかな感情が、やがて高齢者のQOL(生活の質)を飛躍的に向上させる「ユニットケア」という概念の礎を築いたのです。
少人数での買い物、共同での調理、そして共に食卓を囲む時間。これらは、施設という枠を超え、まるで家庭で過ごすかのような温かさと安らぎを高齢者にもたらしました。
「家庭のような時間が高齢者の笑顔を引き出す」という施設長の確信は、やがて施設全体を4つの小さな“家”に分けるという具体的な形となって結実します。
同じ職員が継続的にケアにあたることで、高齢者一人ひとりの個性や生活リズムが尊重され、より個別化されたケアが実現されました。
このユニットケアの導入は、単なる運営スタイルの変更にとどまらず、高齢者の「暮らし」そのものを見直すという、深遠な意味合いを持っていました。
それまでの集団ケアでは見過ごされがちだった個人の尊厳や自己決定権が、ユニットケアにおいては最優先されるべきものとして位置づけられたのです。
入居者それぞれの残された能力を最大限に引き出し、できる限り自立した生活を送れるよう支援する。ユニットケアは、そうした個別ケアの理念を具現化する器となりました。
当初は戸惑いや試行錯誤もあったことでしょう。
しかし、高齢者の笑顔が何よりもその取り組みの正しさを証明していきました。
顔なじみの職員が常にそばにいる安心感、自分の居場所があるという感覚、そして何よりも「人として尊重されている」という実感が、高齢者の心に活力を与えました。認知症の方々も、見慣れた環境と顔なじみの人々に囲まれることで、落ち着きを取り戻し、穏やかな表情を見せるようになりました。
それは、画一的なケアでは得られなかった、個別性と人間性を取り戻すプロセスだったのです。
このユニットケアの成功は、やがて他の施設にも影響を与え、高齢者ケアの新たな潮流を生み出すことになります。
画一的な「施設」から、一人ひとりの人生に寄り添う「家」へ。
その転換は、高齢者福祉におけるパラダイムシフトであり、その原点には、一人の施設長の鋭い洞察と、高齢者の幸福を願う純粋な気持ちがあったのです。
現在、ユニットケアは多くの介護施設で採用される一般的なケア方式となりましたが、
その根底にある「家庭のような温かさ」と「個人の尊厳」という理念は、いつまでも色褪せることのない指針であり続けるでしょう。
高齢者が最期まで自分らしく、心豊かな生活を送るために、私たちはこの原点を決して忘れてはならないのです。
ユニットケアの魅力って?
◾️入居者にとっては…
- 会話や交流が増える
大部屋では無言の時間が多く、他人と距離を置いてしまいがち。
ユニットケアでは自然と関わりが生まれやすくなります。 - “自分の部屋”がある
個室に好きな家具や写真を置いて、自分らしく過ごせます。 - リビングでの時間が増える
個室=閉じこもりではなく、むしろ「安心して外に出られる場所」があることで、交流が広がります。 - 食事量もアップ!
家庭的な雰囲気の中で、自然と食欲も湧いてきます。

◾️職員にとっては…
- 顔なじみの入居者と、じっくり向き合える
毎日同じ人と関わることで、信頼関係が深まり、仕事がやりやすくなります。 - “介助だけじゃない介護”ができる
一緒にお茶を飲んだり、話をしたり…。そんな時間が、介護の喜びにつながります。
施設の“つくり”も大事だった!
ユニットケアを実現するには、建物のつくり=ハード面も大切です。
昔ながらの施設では、長い廊下にずらっと個室が並ぶだけ。これでは交流が生まれにくいのです。
でも、ユニット型では「小さなリビングを中心に、個室がぐるっと囲む」ような構造が主流です。
このリビングが、“新しい家族の居間”のような存在になるのです。
制度としてのユニットケア、そして未来
2002年から、国はユニットケア型の施設整備に補助金を出すようになりました。
そして今では、新設される特別養護老人ホームの約9割がユニット型になっています。
実は、介護報酬(=施設の収入)もユニット型のほうが高く設定されています。
これはつまり、「国も、家庭的なケアを推奨している」ということ。
ただし、入居費用は多床型に比べてやや高め。
それでも、「心の豊かさ」「人間らしい暮らし」を求める方には、大きな価値があると私は思います。
最後に|50代からの転職先としての“ユニットケア”
私自身、50代で介護業界に入りました。
最初は戸惑いもありましたが、「誰かの“暮らし”に寄り添える仕事」は、これまでの人生経験がすべて活きる、やりがいのある仕事だと日々感じています。
もし今、あなたが転職を考えているなら、
「ユニットケア型の施設」での仕事は、
単なる“介助”ではなく、“人生に寄り添う”働き方としておすすめです。
これからも、そんな現場の魅力を少しずつお伝えしていけたらと思います。
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