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介護の仕事では、ご利用者の「尊厳」に重きを置いています。
そんな尊厳を守るためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
介護でいう尊厳とは?
「個人の尊厳とは」で調べてみると・・・
個人の尊厳(こじんのそんげん)あるいは、個人の尊重(こじんのそんちょう)とは、すべての個人が互いを人間として尊重する法原理をいう。英語ではdignityと呼ばれる。日本法では最高の価値基準であり、各種基本的人権、中でも平等権を直接根拠づけるものとされる。世界的ないし歴史的には憲法制定権力に正当性を与える自然権として理解される。
「介護でいう尊厳」とは・・・
私たちは、介護という仕事を通して、いろいろな高齢者や家族、障害のある人々と出会うとき、その人の思い、家族の願い、その人生活の背景や価値観などを知ります。
かかわりのなかで、さまざまな人生観を知るなかで、その人たちの幸せを願って、今、自分が何をすべきかを考えさせられます。
自分以外の人の生き方を支えることはとても難しく、解決できないことが多く、「困難」の連続です。
しかし、そこが、介護の仕事をする醍醐味でもあり、やりがいだといえます。
人間は、生まれながらにして、それぞれ、独自の個性、感性、能力をもっており、個人として、かけがえのない存在です。
かけがえがないからこそ、自分自身を大切にしなければならず、自分以外の人たちも大切にしなければなりません。
つい先日の私の勤める介護施設でのエピソードです。
私の勤める、その高齢者住宅でも、ご夫婦でご入居されている方がおられます。
先日、朝食のためにそのご夫婦のご主人様を、やっとの思いで、ベッドから車いすへ移乗していただき、
食堂フロアへお連れさせていただきました。
しかし、ちょうど、そのとき奥様が、体調不良のため、ベッドでまだ、休んでいただいていたのです。
そしたら、ご主人が、心配になり、また、車いすで居室へ戻ってしまいました。
このご夫婦は別々の居室で暮らされいるのですが、お隣同士です。
私たち介護職員は、朝の起床ケアを素早くすませ、早く朝食を召し上がっていただきたいという気持ちがあります。
でも、ご入居されているこのご主人にとっては、朝ごはんよりも、奥様の様子の方が重要なのです。
数十人のご利用者の方が朝食を待ってテーブルについています。
しかし、そのご主人は今までに、車いすから立ち上がり、転倒をされていたことがありました。
介護職員としては、目が離せない状況です。
結局、夜勤の者が、そのご主人を見守りに行くことで、何とか、転倒事故の危険を回避できました。
しかし、よくよく考えると
私たちが、ふつうに家族のことを心配して見にいくことは、当然のことだと思います。
しかし、介護施設に入っているから、車いすでの生活をしているからなど、
介護職員からするとご利用者の安全を考えてのことであっても、
ご主人にとっては、妻のことも、自由に心配もできない場所(介護施設)ということになりますので、
それは、きっと生きずらい場所と感じてしまったでしょう。
そして、このことは、自分たち夫婦の人権や尊厳は保たれていないと感じたに違いありません。
「介護を受ける」ということ
人は誰もが意思をもって行動しています。そして、意思をもって行動するがゆえに、その結果についても自己責任が伴うことを自覚しています。
しかし、要介護状態となった途端に、とりわけ、認知症の行動・心理症状が出現すると「危ないから」とその行動が制限され、意思のある一人の人として、尊敬されることが少なくなってしまう現状もあります。
認知症であるということだけで、ほかの高齢者と同様に思ってもらえない理不尽さや、
心身機能の衰えで自分を失うこと、バカにされてしまうのではないかという不安など、
さまざまな考えに及ぶのではないでしょうか。
人は何らかの障害があることの不自由さよりも、
人前で恥ずかしい思いをすることを何よりも恐れています。
介護職員はそのような、人としてプライド・誇り・尊厳を傷つけないということを深く考えなければなりません。
たとえ認知症になっても一人の人として暮らすことができる社会を実現していく役割があるのです。
介護を必要とする人たちの人権を擁護すること
人が老い、病気、障害等によって生活に支障が生じ、人間としての尊厳が損なわれようとする際に、
その維持・回復を支援するのは、文化的な社会の基礎となる価値観です。
介護の仕事とは、そうした老い、病気、障害等によって自らの力だけでは
生活の維持が困難な人々の「基本的人権」を擁護するという意味も、もつことです。
現代の福祉や介護の仕事に携わる者の役割とは、
介護を必要とする人たちの「安全」を確保し、「尊厳」を守り、「自立」を支援する、
時には代弁者となって利用者の「人権」を擁護する社会的価値の高いものといえます。
「尊厳を支える」がキーワード
尊厳を支えるケアとはどのようなことでしょうか。
・尊厳を支えるケアとは、介護保険制度の理念である「自立支援」をさらに一歩進めるものである。
それは、周囲がその人らしさを尊重し、また、本人自身が個人として尊重されることを自覚でき、自尊心をもてるような生き方を支え、実現するケアである。
このため、次のようなケアが行われる必要がある。
・利用者のそれまでの生き方を尊重したケア・・・
一人ひとりの利用者が、それまでの人生によってつくりあげてきた生き方、住み慣れた家でのその人らしい暮らし、家族や友人・知人・近隣・社会との関係性などを、最大限尊重し、できるかぎり維持する。
利用者自らサービスを選び、自分の意にそぐわないサービスを拒否することができること、利用者の権利を擁護すること、抑制、閉じ込め、侮辱や軽視があってはならない・・・・心豊かで、自立・自律した暮らしを実現するケア・・・
心身の衰えなどから以前と同じような自宅での暮らし方が困難となるなかでも、その人らしい暮らしのできる家庭的な生活環境を新たに整え、障害に応じた最大限の日常生活行為の自立を保持し、人々とのかかわの関係をつくりだし、精神的な主体性、有用感、誇り、自律を支えることにより、心豊かな暮らしを実現する。・・・
このようにみていくと、「尊厳を支える介護」とは、たとえ、利用者が自分でできなくなったとしても、
その人らしい生活を自分の意思で送ることを可能にすることといえるかもしれません。
まとめ
私たち介護職員は、利用者の安全のために利用者の尊厳を踏みにじるようなことを知らず知らずのうちにしてしまっている可能性が大いにあると思うのです。
そのようなことが無いように、利用者が行動する理由は何か。
それを、よく理解することが、大切だと気づく一場面でした。
これは、人生において、普段から、心がけておきたいことになると思います。
そのような仕事を通して、何気ないひと時ですが、本当は人生においてとても大切な学びの多い、
この介護のお仕事は、人間関係のトレーニングだと思います。
筋トレと同じように細々とでも続けていくことで大きな力がついていくと思います。
もし、介護のお仕事にご興味をお持ちの方は、ぜひ、チャレンジしていただきたいお仕事だと思っています!
※この記事の「尊厳」に関する内容は、自分自身の介護施設での経験エピソードと、
「中央法規 介護の基本Ⅰ」を参考にしています。
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