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50代で転職を考える時、同時に仕事を変わることで、ご両親の介護にまつわる知識も身につけておきたい年齢になっていますね。
そんな50代の働きざかりの方に、同時に考えておきたい介護のことをご紹介しています。
親の介護を始める前に知っておきたい基本知識
親の介護とは何か?
親の介護とは、親が、病気やケガなどで自立した生活が困難な状態になった時に、子供やその家族等が日常の生活介助をすることをいいます。
また、その関わり方については、在宅での介護か、介護施設での入所が想定されます。
在宅介護についても、別居(遠距離、近距離)、同居の場合があります。
在宅介護か施設介護かを選ぶにあたっては、介護を受けるご本人(親)の気持ちを確認しながら、介護に携わる方(子供さんなど)でお話合いを持つことが大切になります。
また、介護にはいつまでという期間は見えないことが多いですので、公的な介護保険制度も活用していくことになります。
公的な介護保険サービスの利用を検討するためには、主治医や、自治体の窓口、地域包括支援センターに相談して介護保険の制度を利用できる準備をしましょう。
介護が必要な状況の主な原因、介護が必要な状況とは
介護や支援が必要となった主な原因
要介護・要支援の原因は「認知症」が2割弱
介護や支援が必要となった主な原因としては、「認知症」が最も多く16.6%となっています。次いで「脳血管疾患(脳卒中)」16.1%、「骨折・転倒」13.9%、「高齢による衰弱」13.2%、「関節疾患」10.2%となっています。
要支援者・要介護者別に原因をみると、要支援者では「関節疾患」が、要介護者では「認知症」が最も多くなっています。
介護が必要となった主な原因の構成割合
<厚生労働省「国民生活基礎調査」/2022年>
要支援者・要介護者別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)
第1位 第2位 第3位 要支援者・要介護者 認知症 16.6% 脳血管疾患(脳卒中) 16.1% 骨折・転倒 13.9% 要支援者 関節疾患 19.3% 高齢による衰弱 17.4% 骨折・転倒 16.1% 要介護者 認知症 23.6% 脳血管疾患(脳卒中) 19.0% 骨折・転倒 13.0% <厚生労働省「国民生活基礎調査」/2022年>
介護や支援が必要となった主な原因は?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター↗
要介護認定の手続き
まずは、お住まいの市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ。)の申請をしましょう。申請後は市区町村の職員などから訪問を受け、聞き取り調査(認定調査)が行われます。
また、市区町村からの依頼により、かかりつけのお医者さんが心身の状況について意見書(主治医意見書)を作成します。その後、認定調査結果や主治医意見書に基づくコンピュータによる一次判定及び、一次判定結果や主治医意見書に基づく介護認定審査会による二次判定を経て、市区町村が要介護度を決定します。
介護保険では、要介護度に応じて受けられるサービスが決まっていますので、自分の要介護度が判定された後は、自分が「どんな介護サービスを受けるか」「どういった事業所を選ぶか」についてサービス計画書(ケアプラン)を作成し、それに基づきサービスの利用が始まります。
要介護認定の申請
介護保険によるサービスを利用するには、要介護認定の申請が必要になります。申請には、介護保険被保険者証が必要です。
40~64歳までの人(第2号被保険者)が申請を行なう場合は、医療保険証が必要です。②認定調査・主治医意見書
市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して、心身の状態を確認するための認定調査を行います。
主治医意見書は市区町村が主治医に依頼をします。主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。※申請者の意見書作成料の自己負担はありません。
③審査判定
調査結果及び主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行なわれます。(一次判定)
一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定が行なわれます。(二次判定)④認 定
市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき要介護認定を行ない、申請者に結果を通知します。申請から認定の通知までは原則30日以内に行ないます。
認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています。【認定の有効期間】■新規、変更申請:原則6ヶ月(状態に応じ3~12ヶ月まで設定)■更新申請:原則12ヶ月(状態に応じ3~24ヶ月まで設定)※有効期間を経過すると介護サービスが利用できないので、有効期間満了までに認定の更新申請が必要となります。※身体の状態に変化が生じたときは、有効期間の途中でも、要介護認定の変更の申請をすることができます。⑤介護(介護予防)サービス計画書の作成
介護(介護予防)サービスを利用する場合は、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要となります。「要支援1」「要支援2」の介護予防サービス計画書は地域包括支援センターに相談し、「要介護1」以上の介護サービス計画書は介護支援専門員(ケアマネジャー)のいる、市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)へ依頼します。
依頼を受けた介護支援専門員は、どのサービスをどう利用するか、本人や家族の希望、心身の状態を充分考慮して、介護サービス計画書を作成します。
※「要介護1」以上:居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)
※「要支援1」「要支援2」:地域包括支援センター
⑥介護サービス利用の開始
介護サービス計画にもとづいた、さまざまなサービスが利用できます。
●ケアプランとは?
ケアプランとは、どのような介護サービスをいつ、どれだけ利用するかを決める計画のことです。
介護保険のサービスを利用するときは、まず、介護や支援の必要性に応じてサービスを組み合わせたケアプランを作成します。ケアプランに基づき、介護サービス事業所と契約を結び、サービスを利用します。【要介護1~5と認定された方】■在宅のサービスを利用する場合→居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に介護サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます。■施設のサービスを利用する場合→施設の介護支援専門員がケアプランを作成。【要支援1~2と認定された方】ケアプランは、地域包括支援センターに作成を依頼することができます。※地域包括支援センターはお住まいの市町村が実施主体となっています。
詳しくは、最寄りの市区町村にお問合せ下さい。
親の介護にかかる費用とその事前準備
介護費用の平均と負担のイメージ
介護費用の平均
(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、住宅を介護しやすく改造したり介護用のベッドを購入したりといった一時的な費用が平均740,000円、介護の月々の費用に平均83,000円が必要という結果になっています。介護期間が平均して5年1ヵ月なので、平均すると総額5,800,000円以上という計算になります。
<図1>介護に関する期間・費用
この金額は、介護保険サービスを利用したうえでの自己負担額の平均です。介護が必要な状況は人によって違い、あくまで計算された平均値に過ぎませんが、ひとたび介護が必要になると、公的な介護保険制度があってもこれだけのお金がかかってくる場合があることは知っておきましょう。
介護費用の負担を軽くするための介護保険制度
上記の介護費用は公的な介護保険サービスを利用したうえでの平均額です。「介護が必要になってきたのかも…」と感じたら、要介護認定の申請手続きをしておきましょう。
まずは、お住まいの市区町村の窓口で申請し、調査を受けて、介護が必要かどうか・どの程度の介護が必要か(要介護度・要支援度)を決定してもらいます。要介護度が決定したら介護状態に応じたサービスを受けられ、利用上限額までサービス利用料の自己負担は基本的に1割です。
状態 区分 在宅サービス
1ヵ月限度額自己負担額
(1割)心身の状態が改善する可能性の高い方で日常生活の一部に支援が必要な状態。 要支援1 50,320円 5,032円 要支援2 105,310円 10,531円 入浴、排せつ、食事などの日常生活動作について常に介護が必要な状態。
1から5に数字が大きくなるほど介護の必要性が高く、要介護5は生活全般について全面的介助が必要。要介護1 167,650円 16,765円 要介護2 197,050円 19,705円 要介護3 270,480円 27,048円 要介護4 309,380円 30,938円 要介護5 362,170円 36,217円 出典:大阪市「介護保険の案内」、厚生労働省「2019年介護報酬改定について」を参考に作成
会社員・公務員だった方の公的年金の受給額は平均約173万円とされていて、平均的な年金受給額の方なら自己負担1割となります。一定以上の収入がある方は2割または3割になることがあります。
なお、利用者の負担が重くなりすぎないよう所得に応じた負担軽減措置や、自己負担の上限額を定める「高額介護サービス費」もあります。介護施設に入る?入らない?
介護が必要になると、「施設に入る?入らない?」をまず考える方もいらっしゃるでしょう。できれば住み慣れた自宅を離れたくない、でも施設に入ったほうが安心して過ごせるのではないかと気になりますよね。
(1)在宅サービスを利用した場合
在宅介護で自己負担1割なら、1ヵ月の自己負担額の上限は要支援1なら5,032円、要介護5では36,217円です。上限額を超えるサービスを受けると、全額自己負担となります。そして要介護度が上がるにつれて、ひとりで生活することが難しくなり費用も上がります。また、介護用紙おむつなど自宅で使用する介護用品の購入や、交通手段としてタクシーの利用が増えるなど、介護保険外にも把握しづらい出費があります。家族が介護に通ってくれるなら交通費や謝礼を考える場合もありますね。介護用品については市区町村での補助もありますので、ぜひ介護保険の手続きの際に確認しておきましょう。
(2)施設サービスを利用した場合
介護施設といっても、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護付有料老人ホームなどいろいろです。施設サービスの料金は、要介護度や施設の種類、職員の人数、個室か相部屋かなどによって変わります。しかも、施設サービスは、それまでの住まいに替わって施設で生活をする以上、原則として自己負担になる居住費・食費・日常生活費が支払いに含まれます。
<表2>施設サービスの1ヵ月の自己負担の目安
要介護5で介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)のユニット型個室を利用した場合
施設サービス費の1割 約27,500円 居住費 約60,000円(2,006円/日 ) 食費 約43,300円(1,445円/日 ) 日常生活費 約10,000円(施設により設定される) 合計 約140,800円 出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」を参考に作成
「月々の介護費用が平均約83,000円とすると、在宅介護なら平均より低く、施設介護はもっとかかる」と考えてしまいそうですが、在宅介護には介護保険サービス利用の自己負担分以外に見えづらい費用があります。加えて、在宅介護では介護のプロではない家族にとって体力・気力の面で大きな負担になります。費用面だけで比較して在宅介護に絞るのではなく、施設介護も視野に入れて資金の準備をすることがおすすめです。
必要な資金の準備と援助制度
生命保険文化センターが2021年9月に公表した「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかった費用(公的介護サービスの自己負担費用を含む)のうち、住宅の改造や介護用ベッドの購入など、一時的にかかった費用は平均74万円となっています。また、月々の介護費用は平均8.3万円であり、介護費用の月額が15万円以上の家庭は全体の約16.3%であることが示されています。
参照:(公財)生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
なお、補助金や制度は申請しないと利用できないものも多くあります。
介護が始まる前に、可能な限り早めに補助金や制度の概要を知って、準備しておきましょう。
本記事では、以下の8つの補助金制度等を一つずつ解説します。
① 介護費用を抑えたいときに使える補助金制度 介護手当(家族介護慰労金) 高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算療養費制度 医療費控除 ②介護用品の貸与等を受けたいときに使える補助金制度 福祉用具購入費 居宅介護住宅改修費 ③介護と仕事を両立したいときに使える補助金制度 介護休業制度(介護休業給付金) 介護休暇制度 1.介護費用を抑えたいときに使える補助金制度
まずは、介護費用を抑えたいときに使える補助金制度を4つ紹介します。
介護手当(家族介護慰労金)
介護手当は、在宅介護中の家族に対して支払われる手当です。国ではなく自治体が主体となった制度であり、自治体によって支給要件や支給金額が異なりますが、制度内容はおおむね以下のとおりです。
支給要件:介護サービスを利用せず、要介護度4~5の要介護者を在宅で1年以上介護していること など
支給金額:年間10~12万円程度介護手当を受給するには、居住している自治体への申請が必要です。自治体によっては手当の名称が異なる場合があるため注意してください(例:東京都中央区「おとしより介護応援手当」)。
ただし、介護手当の支給要件には、“介護サービスを利用しないこと”が含まれている場合がほとんどです。介護サービスを利用せずに、重度の高い要介護者を在宅介護するのは、介護者にとって身体的・精神的に大きな負担となります。介護手当は介護費用を抑えるうえで役立ちますが、介護手当の受給を検討する前に、まずは介護サービスの利用を検討するとよいでしょう。
高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、介護サービスを利用した際に、月々の利用者負担額の合計額が、所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が公的介護保険から支給される制度です。
月々の負担限度上限額は以下のとおりです。
区分 負担上限額(月額) 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 140,100円(世帯) 課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 93,000円(世帯) 市町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税 24,600円(世帯) 前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 24,600円(世帯)15,000円(個人) 生活保護を受給している方等 15,000円(世帯)※ ※15,000円への減額により生活保護の被保護者とならない場合: 世帯15,000円
出典:厚生労働省 「サービスにかかる利用料」、厚生労働省老健局介護保険計画課「令和3年7月5日 介護保険最新情報 Vol.997」
上記の負担限度額を超える場合は、居住する市区町村に申請しましょう。ただし、福祉用具購入費や住宅改修費の負担分、施設サービスの食費、公的介護保険給付対象外の利用者負担分などは支給対象とならないため注意してください。
高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度は、同じ医療保険の世帯内において、医療保険と公的介護保険の両方に自己負担が生じた場合、合算後の負担額が軽減される制度です。医療保険者に申請すると、年収に応じて決められた限度額(年額)を500円以上超えた分が支給されます。
世帯単位の負担上限額は以下のとおりです。
75歳以上 70~74歳 70歳未満 公的介護保険+後期高齢者医療 公的介護保険+被用者保険または国民健康保険 年収約1,160万円 212万円 年収約770~約1,160万円 141万円 年収約370~約770万円 67万円 ~年収約370万円 56万円 60万円 市町村民税世帯非課税等 31万円 34万円 市町村民税世帯非課税かつ年金収入80万円以下等 本人のみ 19万円 介護利用者が複数 31万円 医療費控除
医療費控除とは、納税者自身または自身と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費が一定額を超えた場合、所得控除を受けられる制度です。
医療費控除の対象となる金額は、実際に払った医療費の合計額から、給付金などで補填される金額と10万円※を引いた金額(最高200万円)です。また、訪問看護、介護予防訪問看護、訪問リハビリテーションなどの介護サービスは医療費控除の対象となりますが、福祉用具貸与などは医療費控除の対象外である点に注意しましょう。
※その年の総所得金額等が200万円未満の場合、総所得金額等の5%
医療費控除を受けるには、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書の提出が必要です。
2.介護用品の貸与等を受けたいときに使える補助金制度
続いて、介護用品の貸与等を受けたいときに使える補助金制度を2つ紹介します。
福祉用具購入費
福祉用具購入費は、車いす、特殊寝台、手すりなどの貸与や購入に要した費用に対して補助する制度です。制度を利用すると、かかった費用の原則9割(所得に応じて8割・7割)が給付されます。
制度の対象となる福祉用具は以下のとおりです。
福祉用具貸与 特定福祉用具販売 l 車いす(付属品含む)l 特殊寝台(付属品含む)l 床ずれ防止用具l 体位変換器l 手すりl スロープl 歩行器l 歩行補助つえl 認知症老人徘徊感知機器l 移動用リフト(つり具の部分を除く)l 自動排泄装置 l 腰掛便座l 自動排泄処理装置交換可能部品l 排泄予測支援機器l 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台 など)l 簡易浴槽l 移動用リフトのつり具の部分 参考:厚生労働省 「介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要」
貸与を希望する場合は、担当のケアマネジャーと福祉用具取扱事業者に相談して、貸与する用具を決定しましょう。
購入の場合は、福祉用具販売事業者と相談・製品購入のうえ、自治体に支給申請が必要です。ほかの介護サービスを利用中の場合は、ケアマネジャーにも相談が必要となるため注意してください。
居宅介護住宅改修費
居宅介護住宅改修費は、手すりの取付け、段差の解消、扉の取替えなどに要した費用に対して補助する制度です。かかった費用の原則9割(所得に応じて8割・7割)が給付されます。支給限度基準額は要支援・要介護の区分にかかわらず、生涯20万円となっています。
制度の対象となる住宅改修は以下のとおりです。
制度対象となる住宅改修の種類
● 手すりの取付け
● 段差の解消
● 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
● 引き戸等への扉の取替え
● 洋式便器等への便器の取替え
● その他、住宅改修に付帯して必要となる住宅改修住宅改修を行なう際は、ケアマネジャー等に住宅改修が必要な理由書を作成依頼し、施工前と施工後に自治体へ申請しましょう。
3.介護と仕事を両立したいときに使える補助金制度
最後に、介護と仕事を両立したいときに使える補助金制度を2つ紹介します。
介護休業制度(介護休業給付金)
介護休業は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するための休業であり、介護が必要な家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。介護休業は休業開始予定日の2週間前までに書面等により事業主に申し出が必要です。
また、介護休業期間中は要件を満たせば、休業開始時賃金日額×支給日数の67%の介護休業給付金がハローワークから支給されます。介護休業給付は原則として事業主を経由して申請が必要ですので、事業所と連絡を取りながら支給申請を行ないましょう。
支払われる給付金額は、休業開始時の賃金日額や介護休業期間中の賃金の支払い状況などによって異なります。詳細は事業所またはハローワークに問い合わせてみてください。
参考:厚生労働省 「介護休業について」、「Q&A~介護休業給付~」
介護休暇制度
介護休暇は、要介護状態にある家族を介護するための休暇制度です。介護休業と似ていますが、取得できる日数や取得単位に違いがあります。
介護休暇の取得可能日数は、対象家族が1人の場合は年5日、対象家族が2人以上の場合は年10日です。取得単位は1日または時間単位であり、口頭での申し出も可能なことから突発的に休暇が必要な場合にも利用しやすい制度だといえます。
休暇の申し出は各事業主に対して行ないます。また、介護休暇は年次有給休暇と別に取得可能ですが、休暇期間中が有給か無給かは会社による(無給であることが一般的)ため、休暇前に事業主に確認しておくとよいでしょう。
経済的不安に備えるなら民間の介護保険も利用しよう
ここまで、介護に使える補助制度を8つ紹介しましたが、これらの補助制度を活用しても介護費用のすべてをまかなうことはできません。介護費用の不安を減らすなら、民間の介護保険を活用するのがおすすめです。
民間の介護保険のメリット
民間の介護保険のメリットは、公的介護保険制度でカバーできない部分を補える点にあります。例えば、65歳未満の方(第2号被保険者)は特定疾病による介護状態以外は公的介護保険適用外となりますが、民間の介護保険なら、商品や契約内容によっては公的介護保険適用外の方へも一時金や年金が支払われます。
民間の介護保険は現金での給付となりますので、介護以外の生活費などへの利用も可能です。
民間の介護保険の内容は、取り扱う保険会社によって異なります。支払う保険料や受給条件などを比較しながら、自分に合った保険を選択しましょう。
民間の介護保険を検討してもよい人は?
民間の介護保険は、貯蓄が少なく、介護費用に不安がある方や、貯蓄はあるものの、より充実した介護サービスを受けたい方におすすめです。また、将来的に介護を頼める人がいない方や頼みづらい方は、民間の介護保険に加入して保険金や給付金を得ることで、介護サービスを利用しやすくなります。
自身の健康状態や経済状況などから、民間の介護保険の必要性を考え、加入の有無や加入の時期を考えてみてはいかがでしょうか。
自立して生活ができる人向けのものから、介護が必要な人向けのものまで、さまざま。一体、そこがいいの?
老人ホームや高齢者向け住宅など、高齢者向け施設の種類や特徴について。
自立して生活ができる人向けのものから、介護が必要な人向けのものまで、さまざま。
現在さまざまな種類の高齢者用の介護施設や住宅があります。
老人ホームや高齢者向け住宅など、高齢者向け施設の種類や特徴について。
公的施設 | |
特別養護老人ホーム | 一般的に「特養」とも呼ばれる公的な高齢者施設。原則として、要介護3以上の方を対象としている施設であるため、介護度が高い方が入所している。介護体制が充実している点、費用が安い点、長期利用が可能な点が特徴。入所希望者が多く、入所までの待機期間が長い傾向にある。 |
介護る人保険施設 | 一般的に「老健」との呼ばれる公的な高齢者施設。要介護1以上お方を対象としており、おもにリハビリを中心に機能訓練を行う点が特徴。自立を目的として施設のため原則として、利用できる期間は3カ月。病院から退院した後、施設入所までの生活の場として利用されることもる。 |
介護医療院 | 医師や看護師などが常駐する公的な高齢者施設。要介護1以上の方や認知症の方を対象としている。長期的な療養や生活をする施設である点が特徴。 |
軽費老人ホーム | 「ケアハウス」とも呼ばれる公的な高齢者施設。高齢者が低額な料金で入所できるる有料老人ホーム。「一般型」と「介護型」の2種類があり、一般型は食事などの生活支援サービスを提供している。介護型は、生活支援サービスに加えて生活介護サービスが提供される。 |
民間施設 | |
介護付き老人ホーム | 要介護1以上の方向けの民間の高齢者施設。介護体制が充実している点、民間経営であるため、施設ごとにサービス内容が異なり、費用面においても高額な施設から定額の施設まであることから、選択肢が広い点が特徴。入居までの待機期間も短いと言われている。 |
住宅型有料老人ホーム | 介護をあまり必要としていない方が入居する民間の公営者施設。食事などの生活支援サービスが受けられる点が特徴。 |
健康型有料老人ホーム | 介護の必要がない方向けの民間の高齢者施設。イベント活動等が準備されており、元気な方が楽しく過ごせる点が特徴。ただし、介護が必要になった場合は退去が条件。 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 一般的に「サ高住」と呼ばれる民間の高齢者施設。60歳以上の方が対象のバリアフリー化された賃貸住宅で安否確認と生活相談のサービスが受けられる点特徴。要介護度が高くなると、住み続けることが難しくなる傾向にある。 |
グループホーム | 認知症の方が共同で、家庭の暮らしに近い環境で生活することを目的とした民間の高齢者施設。地域密着型サービスのため、施設のある自治体に住民票があり、65歳以上で認知症の方が入居の対象と限定されている点が特徴。 |
「おひとりさまの就活(白夜書房)」より
いざ高齢者となった時に、自宅で最期を迎えるのか、施設等に入居して最期を迎える迎えるのかは、ご自身の認知・身体的機能などの介護の状況や、経済力、そしてご自身がどのように生活を送りたいかによって決まります。
高齢者向け施設の種類の月額相場
特別養護老人ホーム | 10~14.4万円 |
介護老人保健施設 | 8.8万~15.1万円 |
介護医療院 | 8.6万円~15.5万円 |
介護付き有料老人ホーム | 14.5万円~29.8万円 |
住宅型有料老人ホーム | 8.8万円~19.1万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 11~20万円 |
グループホーム | 8.3万円~13.8万円 |
出典:老人ホーム検索サイト「みんなの介護」
年金だけで入れる老人ホームはありますか?
年金だけで入れる老人ホームはありますか?
将来的に老人ホームへの入居を検討していますが、十分な貯蓄の見通しが立たないため、年金だけで費用をまかないたいと思っています。実際のところ、年金だけで入れる老人ホームはありますか?
回答
年金のみで入れる老人ホームもあります。ただし利用料には幅があるので事前に確認しましょう
長谷川氏の解説を読む
まずは世帯の年金給付額を知り、どの価格帯で施設を探せば良いのかを把握しましょう。
あくまでも平均ですが、月々にもらえる年金は約22万円だという調査結果があります。つまり、月額利用料や介護保険サービスの自己負担分、日用品などの雑費を22万円以内に収めることができれば、年金だけで老人ホームにかかる費用をまかなえるということになります。
まとめ
親の介護を始める前に知っておきたいことしてご紹介させていただきました。
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